清水焼と有田焼の一部を別にすれば、磁器の多くがプリント模様であるのに対し、砥部焼は手描きであるのが嬉しい。中でも梅野さんの梅山窯がダントツの知名度を誇る。最近は人気が出て、若干品薄気味だとか。ひとつひとつ丁寧に良心的な仕事をしている証だろう。母が愛媛の松山出身だったので、食器棚の砥部焼が他所より多めかも知れないが、生地は良質で少し厚づくりなので普段非常に使いやすい。最近新しく醤油差しを手に入れたが、こういう物が食卓にあると心和む。我が家は清水焼き以外は殆ど骨董店や骨董市で手に入れた和食器を使っているが、そこへも自然に馴染む実力だ(笑)。1775(安永四)年、大洲藩主が周辺に豊富な原料を生かす磁器の製法を研究するように命じたことに由来するというのだから存外歴史があって、若い人たちにもこういう物を使って欲しいと思う。東京・自由が丘に砥部焼の専門店がある。